今はもうやめていますが、30代のころまで私はタバコを吸っていました。私がタバコを吸うようになってからずっとあこがれていたのが、「ダンヒルのライター」。けれど、貧乏学生だった私にとってそれは高嶺の花でした。
就職して初めての給料をもらって、その「高嶺の花」を手にしたときのうれしさは、いまだに忘れられません。当時の私にとってダンヒルは「タバコとライターのブランド」だったわけです。
その後、ダンヒルが実はファッションブランドであることを知り、いよいよダンヒルが好きになってしまいました。給料やボーナスが出るたびに、ダンヒルのネクタイ、ダンヒルのサイフ、ダンヒルのバッグ、そしてダンヒルのスーツやコートと、つぎつぎに買い揃えていきました。
ダンヒルの魅力はなんといっても正統派の紳士ブランドということでしょう。イタリアやフランスのブランドのような華やかさはありません。けれど私にはその「硬質な頑固さ」がむしろ魅力的に感じられるのです。
今になってつくづく感じるのは、ダンヒルは大人のブランドということ。若い頃から夢中になっていましたが、おそらく20代、30代のころの私は、ダンヒルブランドを使いこなせていなかったにちがいありません。大人たちの目には「若造が背伸びしている」と映っていたのではないでしょうか。今さらながら、赤面してしまいます・
つまり、ダンヒルは年をとればとるほど似合ってくるブランドと言っていいでしょう。そう考えると、年をとるのが楽しく思えてきます。
